老後の安心暮らしは“今”から整える!50代夫婦の住まい見直し実践法

子どもたちが独立し、家の中が少し広く感じるようになった──。
私もそうでした。にぎやかだった食卓が静けさを取り戻したとき、「これからこの家をどうしていこう」と考えるようになったんです。

ふと見れば、色あせた壁やきしむ扉、使われない部屋。
「まだ大丈夫」と思いがちですが、家の老化は静かに進んでいます。
そして、その“見過ごし”がやがて老後の不安として返ってくるんですよね。

私が家を見直そうと思ったきっかけは、母の転倒でした。
ほんの小さな段差でつまずいたことが、長い入院につながった。
家も人も、年齢とともに変わっていくのだと痛感しました。
かつて快適だった間取りが、いまの自分たちには合わなくなっていることもあるのです。

だからこそ、50代の今こそが“暮らしを整える”タイミング。
子育てを終え、ようやく自分たちの時間を持てるこの時期に、家を「家族を守る場所」から「夫婦が心地よく過ごす場所」へと変えていく。
それが、老後の安心につながる第一歩だと思うんです。

安心はお金だけで得られるものではありません。
家の段差をなくす、断熱を見直す、収納を減らす──。
そんな小さな準備の積み重ねが、未来の暮らしを支えてくれる。

そしてもう一つ大切なのが、夫婦で話す時間。
「これからどんな暮らしをしたい?」
「どんな家が心地いい?」
そうやって言葉を交わすことが、
安心の土台を一緒に育てていくことなんですよね。

老後の安心は、誰かが用意してくれるものではありません。
今日の小さな一歩が、明日の安心を生む。
家を見直すことは、自分たちの未来を穏やかに整える行為なのだと思います。

日下部信親

「なんか家が広くなった気がするな。」

日下部真美

「子どもが巣立っただけよ。空気が軽くなったのね。」

日下部信親

「……掃除の手間は重くなったけどな(笑)」

日下部真美

「じゃあ、暮らしの軽量化、始めましょ。」


目次

第1章 “まだ大丈夫”は危険信号!50代こそ住まいを見直すべき理由


快適さが不便に変わる?50代の家が抱える“見えない老化”

若いころは何も感じなかった階段や段差が、
いつの間にか少しだけ「面倒だな」と思うようになりました。

私もそうでした。
仕事から帰ってきて、2階の寝室に上がるだけで軽く息が上がる。
「まあ、このくらい大丈夫」と笑っていたけれど、心のどこかで「昔と違うな」と感じていたんです。

家の中を見渡すと、かつて子どもたちが使っていた部屋がいくつも空いていて、掃除の手間も収納の使い勝手も、少しずつ「負担」に変わっていく。
若い頃は“広さ”が誇りだったけれど、今は“広さ”が重く感じるようになりました。

不思議なもので、家って、建物の老朽化よりも、自分たちの生活のほうが先に変わるんですよね。
動線が合わなくなったり、上り下りがつらくなったり、いつの間にか「暮らしに合わない家」に住んでいる。

それでも「まだ大丈夫」と思ってしまうのが、50代の厄介なところです。
身体は少しずつ変化しているのに、気持ちは昔のまま。
そのズレが積み重なると、いつか大きな“暮らしの歪み”になるのかもしれません。

私の場合、腰を痛めたときに初めて気づきました。
階段を上るたびに痛みが走る。
「この先、毎日これを続けるのか」と考えたら、急に現実味を帯びてきて…。
家の中のちょっとした段差が、怖くなる瞬間があったんです。

あなたの家はどうでしょうか。
かつての“理想の家”が、今のあなたに本当に合っていますか?
もし、少しでも違和感を覚えるなら、それは変化を始めるサインなのかもしれません。


老後のケガ・病気は“家の構造”が原因?今こそ安心設計を

母が浴室で転倒したのは、数年前の冬でした。
寒い夜、湯船に入ろうとして足を滑らせたのです。
幸い、大事には至らなかったものの、その出来事が私の中に強い印象を残しました。

「家の造りが命を左右することもある」――
そのとき、そう感じたんですよね。

段差や浴室の温度差、手すりの有無。
そうした小さな要素が、年を重ねた私たちには大きなリスクになります。
特に冬場のヒートショックは、健康な人でも突然起こることがある。
“住まいの構造”は、想像以上に私たちの暮らしに影響しているんです。

私はそれ以来、「快適」よりも「安心」を優先する暮らしに意識が向くようになりました。
見た目の美しさや便利さも大事だけれど、これからの暮らしで本当に守りたいのは、“日々の安全”と“心の安らぎ”なんですよね。

手すりをつける。
照明を少し明るくする。
ヒートショックを防ぐために、浴室と脱衣所の温度差を減らす。
どれも大げさなことではありません。
でも、その一つひとつが、老後の安心へとつながっていくのだと思います。

住まいを整えることは、未来の自分への思いやりでもあります。
「まだ大丈夫」と言えるうちに、“これからの暮らし”を少しずつ整えていく。

それが、50代の私たちにできる、静かで、確かな一歩なんじゃないかと思うんです。

日下部真美

「階段、ちょっと息切れしてない?」

日下部信親

「いやいや、これは“深呼吸”だ(笑)」

日下部真美

「無理しない。手すり、検討ね。」

日下部信親

「はい、即“現実対応”いたします。」


第2章 老後の安心をつくる5つの条件|暮らしの質を決める“安心設計”とは


【安全性】段差ゼロ・手すり完備が命を守る

50代になってから、私は「家の中って、こんなに危ない場所だったんだ」と感じるようになりました。
何でもない段差でつまずいたり、夜中にトイレへ行くとき、照明の暗さにヒヤッとする瞬間がある。
若い頃には気にも留めなかったことが、今は小さな“リスク”に見えるんですよね。

母が転倒して骨折したとき、私はその怖さを実感しました。
たった数センチの段差が、長い入院につながることもある。
それ以来、私は「段差をなくす」「手すりをつける」「明るさを確保する」ことを少しずつ始めました。

大げさな工事ではありません。
でも、安心って、実はそんな“小さな積み重ね”から生まれるものなのかもしれません。
あなたの家にも、気づかない危険が潜んでいませんか?


【快適性】断熱・遮音・換気で“体にやさしい家”に

冬の朝、冷たい床に足をつけた瞬間に身震いしたこと、ありませんか?
私はそれが当たり前だと思っていました。
でも、あるとき断熱性の高い家を訪ねて、あまりの暖かさに驚いたんです。
「家がこんなにも人の体に影響するのか」と、その時初めて気づきました。

温度差が少ない家は、身体だけでなく心にもやさしい。
夜、静かに風の音だけが聞こえる家は、それだけで安眠を誘います。
“快適さ”というのは、贅沢ではなく、年齢を重ねた体を守るための“思いやり”なんですよね。

少しずつでもいい。
窓を二重にしたり、換気の流れを見直すだけでも、暮らしの質はぐっと変わります。
私自身、冬の朝が以前よりも穏やかになりました。
その静けさの中で、「この先も安心して暮らせる」と思えることが、何よりありがたいことだと思いました。


【経済性】維持費を抑え、将来の不安を小さくする

「家は持つより、守るほうが大変」と言いますよね。
私も50代に入ってから、その言葉の意味がよくわかるようになりました。
光熱費、修繕費、固定資産税……。
現役のころは何とかなると思っていた出費が、これから先は確実に重く感じてくる。

だからこそ、いまのうちに「無理のない暮らし方」を整えておきたい。
家の断熱を上げることも、電気をLEDに変えることも、すべては“将来の安心”を買うための投資なんですよね。

「お金をかけない工夫」も大切ですが、“お金に振り回されない暮らし”をどう作るか――
そこに、老後の安心のヒントがあるように思います。


【心理的安心】夫婦が心穏やかに過ごせる空間デザイン

年を重ねるごとに感じるのは、「夫婦の距離感」って、意外と住まいのつくりに左右されるということです。
たとえば、リビングのソファが少し離れているだけで、会話の頻度が変わる。
キッチンからリビングが見える間取りだと、自然と声をかける機会が増える。

家の構造が、心の距離まで変えてしまうんですよね。

私の家では、妻と一緒に過ごす時間を大切にするために、リビングにお気に入りの照明をひとつ増やしました。
それだけで夜の空気が少し柔らかくなって、会話のトーンも穏やかになった気がします。

“心理的な安心”とは、心がほっと落ち着く空間のこと。
それは広さやデザインではなく、「一緒にいると居心地がいい」と感じられる空気なのかもしれません。


【地域・防災性】“助け合い”ができる暮らしの安心ネットワーク

東日本大震災のあと、私は「一人では生きられない」という当たり前の事実を痛感しました。
それからというもの、地域の防災訓練や清掃活動にはできるだけ参加するようにしています。
顔見知りが増えると、それだけで安心感が生まれるんですよね。

近所の人が声をかけてくれる。
誰かが体調を崩したときに、そっと助け合える。
そんな“人のつながり”こそ、何よりの安全装置だと思います。

防災グッズを揃えることも大事ですが、それ以上に、「頼れる人」と「頼られる関係」を育てておくこと。
それが、老後を支えてくれる“見えない安心設計”になるのかもしれません。


老後の安心とは、家の設備や構造だけではなく、日々の暮らしの中に積み重ねていく“心の設計”なんだと思います。

安心を整えることは、暮らしを整えること。
そしてそれは、これからの人生をどう生きたいかを静かに問い直す時間でもあるんですよね。

日下部信親

「段差と手すり、どっちが優先?」

日下部真美

「あなたの運動神経なら、手すり。」

日下部信親

「……反論できない(笑)」

日下部真美

「安心は、“ちょっとの工夫”からね。」


第3章 50代から始める!後悔しない「住まい見直し」実践ステップ


まずは現状チェック|“不便ポイント”をリスト化する

家というのは、不思議なもので、長く住めば住むほど「慣れ」が邪魔をするんですよね。
少し不便でも、「まあいいか」と見過ごしてしまう。
私も以前はそうでした。

廊下の照明が暗い、洗面台が低くて腰が痛い、コンセントの位置が微妙…。
そんな“小さな違和感”が積み重なっていく。
でもそれを放っておくと、暮らし全体の快適さがじわじわと削られていくんです。

あるとき妻に言われました。
「最近、家の中でちょっとしたストレス、多くない?」と。
その一言にハッとしました。
「そういえば、ドアの開閉音がうるさいな」「寝室の照明、まぶしすぎるな」……
リストに書き出してみると、不便な箇所が思っていた以上に多かったんです。

あなたの家にも、そういう場所があるかもしれません。
まずは“今の家”をよく見てみる。
手に取るようにリスト化することで、ようやく“現実”が見えてくるんですよね。


改善は優先順位がカギ|今すぐ直す・後で考えるを仕分け

全部を一度に変えようとすると、費用も手間もかかる。
だからこそ「今すぐやる」「後でやる」を分けることが大切だと思いました。

私の場合、まず“安全に関わること”を最優先にしました。
浴室や階段、玄関の段差など、ケガにつながる部分から。
次に“生活動線に関わること”、たとえばキッチンや洗濯スペースの改善。
最後に、“気持ちに関わること”、照明の色や家具の配置など。

最初は曖昧だった優先順位も、こうして整理すると意外とスッキリします。
一気に変えるよりも、「今日はここを直そう」と少しずつ動くほうが現実的なんですよね。

家を直すというより、「暮らしを整える」という感覚。
そう思うと、重かった腰がすっと軽くなりました。


小さなリフォームから始める|費用を抑えて安心を手に入れるコツ

リフォームという言葉を聞くと、大がかりな工事を想像して身構えてしまう人も多いと思います。
でも実際は、もっと“小さな改善”からでも十分なんですよね。

私の家では、まず浴室に手すりを取りつけました。
それだけで妻も安心して入浴できるようになり、私自身もほっとしました。
玄関の照明をセンサー付きに変えたときは、夜の帰宅が少し楽しみになったほどです。

費用を抑えるコツは、「全部を新品にしよう」としないこと。
“必要な部分だけを整える”という視点が大切だと思いました。

実際、古いものの中にも味わいがあります。
壁紙の小さな傷や、テーブルの擦れ跡を見ていると、
この家で過ごしてきた年月が静かに浮かび上がってくる。
だから私は、すべてを完璧にするより、“今の暮らしに寄り添う手直し”を選ぶようにしています。

あなたの家でも、そんな「小さなリフォーム」から始めてみませんか?
たとえ一か所でも変えるだけで、驚くほど気持ちが軽くなりますよ。


10年後を見据えた「段階リフォーム計画」|焦らず育てる家づくり

家も人と同じように、歳を重ねていきます。
だからこそ、10年先を見据えて少しずつ育てていくことが大切なんだと思います。

若いころの私は、“完成”を目指して家づくりをしていました。
でも50代になった今は、“継続”を意識するようになりました。
すぐに結果を求めず、時間をかけて手を入れていく。
その過程そのものが、暮らしを豊かにしてくれる気がするんです。

私は10年後、自分がどんな体の状態で、どんな生活をしているかを想像してみました。
「階段はまだ上がれるだろうか」「冬の寒さはこたえないだろうか」――
そう考えると、今から少しずつ準備しておくほうがいいと思えました。

焦らなくてもいい。
すぐに完璧にしようとしなくてもいい。
家は“今の自分”と“未来の自分”をつなぐ場所です。
それを見据えながら手を加えていくことで、安心も、愛着も、ゆっくりと育っていくのかもしれません。


住まいを見直すことは、自分の人生を見直すことでもあります。

50代の今だからこそできる「整える」という選択。
それは、派手ではないけれど、とても確かな希望なんですよね。

あなたの家にも、きっと“少し整えるだけで心地よくなる場所”があるはずです。
焦らず、ゆっくり。
あなたの暮らしを、これからのあなたに寄り添う形へ――
一緒に育てていきましょう。

日下部真美

「“不便リスト”、書いてみたの。」

日下部信親

「どれどれ……俺の名前が多くない?」

日下部真美

「心当たり、あるでしょ?」

日下部信親

「……まず俺の収納から改善だな。」


第4章 50代夫婦の“安心リフォーム”実例3選|暮らしが変わるリアル体験


【平屋化リフォーム】段差ゼロで会話が増えた夫婦の物語

数年前、知人のご夫婦が二階建ての家を「ほぼ平屋」にリフォームしたんですよ。
理由を聞くと、「階段がつらくてね」と、少し笑いながら話してくれました。

以前は寝室が2階にあり、夜中にトイレへ行くのも一苦労。
ご主人が転んだのをきっかけに、思い切って1階を中心とした生活に切り替えたそうです。
結果、段差のない動線になり、生活が驚くほど楽になったと話していました。

「不思議なことに、夫婦の会話も増えたんですよ」と奥さん。
お互いの気配を感じながら過ごせるようになって、自然と笑顔が増えたといいます。
たぶん、“同じ目線の暮らし”になったからなんでしょうね。

私もその話を聞いて、改めて思いました。
安心な家というのは、身体のためだけじゃなく、心の距離も近づけてくれるものなんですよね。


【子ども部屋活用術】趣味スペースに変えて“心の余白”を作る

子どもたちが独立してから、空いた部屋をどうするか――。
これは、50代夫婦にとって大きなテーマだと思います。

私の家でも、娘が使っていた部屋がそのままになっていて、最初は片づけるのも気が引けました。
でもある日、妻が「この部屋、二人で使おう」と言い出したんです。

家具を減らし、壁に絵を飾り、小さなテーブルを置いたら、驚くほど空気が変わりました。
そこは、コーヒーを飲みながら話をしたり、静かに本を読むための“ふたりの空間”になったんです。

空いた部屋をどう使うかは、家の中での“心の整理”にもつながるのかもしれません。
過去の思い出を大切にしつつ、今の自分たちの時間を楽しむ――
それが「第二の暮らし」を始めるきっかけになると、私は感じました。


【断熱リフォーム】冬の寒さから解放!健康と光熱費を守る家

私自身、数年前に小さな断熱リフォームをしました。
冬になると、寝室がひどく冷えて、朝起きるのがつらかったんですよね。
窓を二重ガラスに変えただけで、驚くほど室内の温度が安定しました。

暖房の効きが良くなり、光熱費も少し減って、何より「朝の空気が柔らかくなった」ように感じたんです。
これは、暮らしの質を静かに底上げしてくれる変化でした。

50代になると、体が気温差に敏感になります。
ちょっとした寒暖の差が、疲れや痛みに変わることもある。
だからこそ、家の温度を整えることは“健康を守るリフォーム”なんだと思います。


暮らしを変えるというのは、決して大きな決断だけを意味するものではありません。
段差をなくすことも、空いた部屋を活かすことも、窓を替えることも、その一つひとつが「これからの自分たちを大切にする選択」なんですよね。

私たちの50代は、まだ途中。
だからこそ、家も人生も“これからの形”に育てていける。
そんな柔らかな希望を胸に、今日も家の中を見渡しています。

日下部信親

「平屋リフォームで会話が増えた夫婦、いいね。」

日下部真美

「うちも真似してみる?」

日下部信親

「いや、これ以上話したらネタ切れだぞ(笑)」

日下部真美

「じゃあ台所リフォームね。あなたの料理も増えるかも?」

日下部信親

「即決!見積もり取ろう!」


第5章 住まいだけじゃない!“暮らし方の見直し”で得る安心と自由


家事動線の再設計で、夫婦のストレスを減らす

50代になると、体力だけでなく、家の中での「動き方」も変わってくるんですよね。
若い頃は平気だった距離や動作が、今はちょっとした負担になる。
私もある日、ふと気づきました。

「キッチンから洗面所が遠いな」
「掃除機を持って階段を上がるの、少し大変だな」――そんな小さな気づき。

でも、それを見直しただけで暮らしが驚くほど楽になったんです。

妻と一緒に家事をするようになってからは、「家のつくり」が夫婦の関係にも影響することを感じました。
動線が悪いと、自然とお互いのストレスが増えるんですよね。
たとえば、料理をしている横を通るたびにぶつかりそうになったり、
洗濯物を干す場所が遠くて面倒に感じたり。

そんな“ちょっとした不便”が積み重なると、気づかないうちに会話が減って、空気がぎこちなくなる。
家のつくりって、実は夫婦の関係にも影響しているのかもしれません。

我が家では、思いきってキッチン周りの配置を変えました。
調理台の向きを変え、動きやすくしただけで、
料理のときの会話が増え、笑い声も戻ってきました。

家事の動線を整えるというのは、“生活の効率化”というより、“夫婦の心のゆとり”を取り戻す作業なんですよね。


片付けが心を整える|モノを減らすと安心が増える理由

子どもたちが巣立って、家の中が少し広く感じるようになったころ。
その分、モノが増えていることに気づきました。
昔の書類や、もう使わない家具、なんとなく置きっぱなしのものたち。

片付けようと思っても、なかなか手が動かない。
「捨てるのがもったいない」というより、「思い出が詰まっているから」なんですよね。

でも、ある日思い切って整理を始めたんです。
一度にやると疲れるので、今日はこの棚だけ、明日はこの引き出しだけ――。
ゆっくり進めていくと、不思議なことに気持ちまで軽くなっていきました。

空間に余白が生まれると、心にも風が通るような感覚がある。
モノを減らすことは、過去と向き合うことでもあるけれど、同時に「これからの自分」を迎える準備でもあるんですよね。

妻と二人で古い写真を見ながら整理していると、「あのときは楽しかったね」と笑ったり、「もうこんなに年月が経ったんだね」としみじみしたり。
片付けって、思い出を手放すことじゃなくて、“いまを整えるための儀式”なのかもしれません。


家の中に癒しを|照明・植物・香りで“心地よい空間”をつくる

最近、私は照明の色を少しだけ変えました。
白い蛍光灯から、少し暖かみのある電球色へ。
それだけで、夜の時間の過ごし方がまるで違うものになりました。

部屋の空気がやわらぎ、コーヒーを飲む時間が、少し贅沢に感じられる。
なんでもないことなんですけどね。
でも、その“小さな変化”が、暮らしの心地よさを支えてくれているんだと思います。

窓際には、小さな観葉植物を置いています。
朝の光を浴びる葉の緑を見ていると、「今日もこの日が始まるんだな」と、静かに気持ちが整っていく。
植物って、言葉を交わさなくても寄り添ってくれる存在ですよね。

妻は最近、香りにこだわり始めました。
お気に入りのアロマを焚くと、「家に帰ってきた」という安心感が、ふわっと広がる。
香りもまた、暮らしを癒す“目に見えない手”のようなものかもしれません。


住まいを整えることは、同時に「生き方を整えること」でもあると思うんです。
便利さや効率だけを追いかけるのではなく、自分たちのペースに合った、穏やかな暮らし方を見つける。

50代は、これまで積み重ねてきた時間をいったん見つめ直す節目。
モノの整理も、動線の工夫も、結局は「これからどう生きたいか」を問い直す作業なのかもしれません。

無理をせず、焦らず、少しずつ“安心と自由”を増やしていけたらいいですよね。

日下部真美

「最近、モノを減らすと気分がいいの。」

日下部信親

「俺の本棚には触らないでな。」

日下部真美

「“思い出”は残しても、“ホコリ”は残さないわよ(笑)」

日下部信親

「名言いただきました。」


第6章 安心リフォームの現実|費用・補助金・業者選びのポイント


無理なくできるリフォーム費用の立て方

50代になると、「リフォームしたいけれど、どれくらいお金がかかるのか」と不安になる人も多いと思います。
私もそのひとりでした。
見積書を見たとき、正直に言えば、心のどこかでため息が出たんですよね。

でも、思ったんです。
“全部を一度にやろうとするから、重く感じるのかもしれない”と。

たとえば浴室だけ、トイレだけ、あるいは玄関だけ。
「今の自分たちに必要なところ」から少しずつ整える。
そう考えると、費用のハードルは一気に下がります。

リフォーム費用は“出費”ではなく、“これからの安心を買うための投資”なんですよね。
見積りの数字に怯えるよりも、「この先10年、安心して暮らせる時間を得られるかどうか」で考えるほうが、気持ちがずっと前向きになります。

私自身、キッチンのリフォームを分割払いで進めましたが、完成してからは「やってよかった」と心から思いました。
毎日の小さな快適さが、何よりの“元が取れる瞬間”なんです。


知らないと損!バリアフリー助成金・補助金の活用法

リフォームというと、“自費でやるもの”というイメージがありますが、実は国や自治体の支援を使えば、かなり助かる場合があります。

私も、母の介護のために手すりを取りつけたとき、市役所で「介護保険を使えば一部補助が出ますよ」と教えてもらいました。
それまではまったく知りませんでした。

調べてみると、段差解消、浴室の改修、滑り止め設置など、意外と幅広い項目が補助対象になっていたんです。
手続きは少し面倒ですが、そのひと手間が“将来の安心”を支える大きな助けになると思いました。

あなたの住んでいる地域にも、きっと何かしらの制度があるはずです。
市役所の窓口で尋ねるだけでも、思わぬ情報に出会えるかもしれません。

「どうせ自分は対象じゃない」と思う前に、一度だけでも調べてみてください。
私もそうやって、知らずに逃していた安心を、少しずつ取り戻してきました。


トラブルを防ぐ!信頼できる業者を見抜くチェックポイント

リフォームを考え始めたとき、いちばん不安だったのは「誰に頼むか」でした。
どの会社も「安心・信頼」と書いてあるけれど、実際にどこまで信用していいのか分からない。

私が学んだのは、“人の姿勢を見る”ことの大切さです。
見積りの説明をきちんと時間をかけてしてくれるか、こちらの話を最後まで聞いてくれるか。
結局のところ、信頼できる業者というのは、「話していて不安にならない人」なんですよね。

最初に会った業者の中には、こちらの希望を聞かずに金額だけを並べる人もいました。
その瞬間、「この人とは合わないな」と直感で感じました。
そして別の業者と出会い、丁寧に“生活の動線”まで考えて提案してくれたんです。
結果、仕上がりだけでなく気持ちまで満足できました。

リフォームは“モノを直す”ことよりも、“人と信頼を築く”ことのほうが大事。
それが私の正直な実感です。


見落としがちな外壁・屋根・断熱の老朽化に注意

内装のリフォームに目が向きがちですが、外壁や屋根、断熱といった“見えない部分”こそ注意が必要です。

私も以前、外壁のひびを放っておいたら、雨漏りが発生して大がかりな修繕になってしまいました。
そのとき思ったんです。
「家も人と同じで、見た目より中身の健康が大事なんだ」と。

断熱の見直しも同じです。
冬の寒さ、夏の暑さを和らげることは、快適さだけでなく、電気代や体調にも関わってきます。

定期的に専門家に点検してもらうのは、決して贅沢ではありません。それは“これからも安心して暮らすための健康診断”なんですよね。


リフォームというと、「お金がかかる」「手間がかかる」と思いがちですが、実際は“暮らしを守るためのケア”のようなものだと感じています。

完璧を求めなくていい。
必要なところを、無理のないタイミングで整えていけばいい。

50代の今だからこそできる「これからの家づくり」。
それは、新しいものを手に入れるというより、“これまでの暮らしを丁寧に続けていく”という選択なのかもしれません。

あなたの家も、あなた自身のように、少しずつ手をかけながら育てていけばいいんですよね。

日下部真美

「リフォームってやっぱり高いのね。」

日下部信親

「補助金使えば意外といけるかも。」

日下部真美

「調べてみる?」

日下部信親

「うん。“節約デート”ってやつだな。」

日下部真美

「……地味すぎ(笑)」


第7章 夫婦で作る“これからの家”|意見が違っても上手にすり合わせる方法


まずは“理想の暮らし”を語り合う時間を持とう

夫婦で家のことを話すとき、つい「どこを直すか」「何を買うか」という“具体的な話”から入ってしまうこと、ありませんか?
私もそうでした。

でも、あるとき妻に言われたんです。
「ねえ、私たちって“どんな暮らしがしたいか”を話したこと、あった?」と。

ハッとしました。
家のことを考えるつもりが、いつの間にか“物の話”ばかりしていたんですよね。

その夜、二人でお茶を飲みながら、「将来はどんなふうに暮らしていたい?」という話をゆっくりしました。
派手な夢じゃなくていい。
“朝日が差すダイニングで一緒にごはんを食べたい”とか、
“お互いの気配を感じながら過ごしたい”とか。
そんなささやかな理想を言葉にするだけで、心が温かくなるんです。

家づくりも暮らしの見直しも、まずは“どんな人生を送りたいか”という話から始めると、
不思議と方向が見えてくるんですよね。

日下部信親

ちなみに僕の本音は「インドネシア」での永住です。リッポー・チカランという街に住みたいです。


意見がぶつかるときは「機能面」と「気持ち面」を分けて考える

夫婦で話していると、どうしても意見がぶつかることがあります。
「リビングは広くしたい」「いや、収納を増やしたい」――。
私たちも何度もそんなことで口論になりました。

でも、ある時気づいたんです。
お互いが“何を言っているか”よりも、“なぜそう言うのか”を理解していなかったんだなと。

たとえば、妻が「キッチンを広くしたい」と言ったのは、単に作業スペースの問題ではなく、“料理を楽しめる時間を増やしたい”という気持ちだったんです。

私は「費用がかかる」と反対していましたが、その本音を知った瞬間、なんだか胸の奥がやわらかくなりました。

だから私は、意見が合わないときは「これは機能の話かな? それとも気持ちの話かな?」と自分に問いかけるようにしています。
そう考えると、相手の言葉の中にある“思い”が見えてくるんですよね。

あなたの家でも、もし意見がぶつかることがあったら、一度立ち止まって“気持ちの側”を聞いてみてください。
そこには、きっと優しさや願いが隠れていると思います。


住まいの見直しは、夫婦関係の再構築にもつながる

家を整えることは、暮らしを整えること。
そして、暮らしを整えることは、夫婦の関係を整えることでもある――
最近、そう思うようになりました。

リフォームや模様替えのたびに、私たちは何度も話し合い、意見をすり合わせてきました。
その過程は、時に面倒で、時に感情的になることもあります。
でも、その“面倒な時間”こそが、夫婦にとって大事なんですよね。

相手を理解しようとする。
少し譲る。
時には自分の考えを手放す。

それは家づくりというより、“これからの生き方を一緒に選び直す作業”なのかもしれません。

50代になって、ようやくわかりました。
家を変えるというのは、お互いの心をもう一度結び直すチャンスなんだと。

あなたの家にも、夫婦で話したい未来の形があるはずです。
「これから、どんなふうに暮らしていこうか」
そんな会話から、また新しい日々が始まるのかもしれませんね。

日下部信親

「俺は山が見える家がいいな。」

日下部真美

「私は駅チカ派。」

日下部信親

「じゃあ、駅前の山で(笑)」

日下部真美

「そんな場所あるなら即買いね。」

日下部信親

ロト7が当たったらね!


第8章 老後の安心を守り続ける!定期メンテナンス&暮らしチェックリスト


年に一度は“家の健康診断”を|外壁・屋根・配管を確認

人間が年に一度、健康診断を受けるように、家にも「定期的な診断」が必要なんですよね。

私がそれを実感したのは、雨漏りが起きたときでした。
ある年の梅雨、天井に小さなシミを見つけたんです。
最初は「たいしたことない」と思っていたのですが、実は屋根の一部が傷んでいて、放っておけば大掛かりな修繕になるところでした。

あのとき、“気づいてよかった”と心から思いました。

外壁や屋根、配管など、普段あまり目にしない場所ほど老朽化が進みやすい。
だからこそ、年に一度は専門業者に点検してもらうようにしています。
点検というと堅苦しく聞こえるかもしれませんが、私は「家の健康診断」と呼んでいます。

家も、人と同じで、早めに異変を見つければ手当てが軽く済む。
その小さな意識が、“老後の安心”を守るための第一歩なんですよね。


家計も一緒に見直そう|維持費・光熱費・保険の最適化

家のメンテナンスと同じくらい大事なのが、「家計のメンテナンス」です。
家を整えても、日々の支出が不安定だと、心から安心はできません。

私は毎年、年末になると妻と一緒に家計を振り返るようにしています。
光熱費、保険料、固定費――。
見直してみると、「こんなに使ってたのか」と驚くことがよくあるんですよね。

特に電気代や通信費は、契約内容を見直すだけで節約できることが多い。
保険も、若い頃のままにしておくと、今の生活に合っていない場合があります。

お金の話は、どこかタブーのように感じるかもしれませんが、夫婦でオープンに話せるようになると、気持ちまで軽くなるんですよね。

「これから何にお金を使っていきたいか」
「どんな暮らしを続けていきたいか」
そんな会話を重ねることが、家計の見直し以上に大切な時間なのかもしれません。


防災と非常時の備えを“習慣化”する暮らし術

地震や台風など、いつ何が起こるかわからない時代です。
ニュースを見て「自分のところは大丈夫だろう」と思っていた私も、実際に停電を経験してから考えが変わりました。

懐中電灯の電池が切れていたり、水の備蓄が足りなかったり。
その“ほんの少しの準備不足”が、不安を大きくしていたんですよね。

それ以来、私は半年に一度、非常用品をチェックするようにしています。
期限の切れたものを入れ替え、足りないものを補充する。
災害時に備えるというより、「安心して眠るための準備」なんです。

妻とは「どこに何を置くか」を一緒に確認しています。
その作業をしていると、不思議と心が落ち着くんですよね。
“守る力”を自分たちの手で整えている感覚があるからかもしれません。


家の点検、家計の見直し、防災の備え。
どれも少し手間はかかるけれど、そのひとつひとつが「安心して生きる力」になるのだと思います。

50代の今は、まだ身体も動くし、気力もある。
だからこそ、“未来の自分たちのためにできること”を、今しておきたい。

暮らしのメンテナンスとは、過去を整え、未来を守る、静かな愛の行為なのかもしれませんね。

日下部真美

「家の点検、また後回しにしてるでしょ?」

日下部信親

「いや、心の準備はできてる!」

日下部真美

「準備だけじゃ家は守れません(笑)」

日下部信親

「じゃあ俺、屋根。真美は冷蔵庫の“謎の瓶”チェック頼む。」


【まとめ】安心な老後は、今日の一歩から始まる


1. 家の現状を点検する

「まだ大丈夫」と思っていた家も、気づけばあちこちが年を取っています。
私も以前は、壊れてから直せばいいと思っていました。
でも、ある年に給湯器が突然壊れ、真冬の夜に冷たい水しか出なくなったとき、“もっと早く気づいておけばよかった”と心から思いました。

それ以来、年に一度は家の“健康診断”をするようにしています。
屋根や外壁、配管、照明のスイッチ、手すりのぐらつき――。
一つひとつを点検していくと、「ここ、少し危ないかも」「ここはもう交換しておこう」と、安心へつながる道が見えてくるんですよね。

大切なのは、“完璧にしよう”と気負わないこと。
小さな違和感に気づくことが、未来のトラブルを防ぐ第一歩なんだと思います。


2. 小さな改善から始める

家も暮らしも、“いきなり理想を目指さない”ほうが長続きします。
私はまず、転びやすかった玄関の段差に手を入れました。
たったそれだけで、毎日の出入りが驚くほど楽になったんです。

家の改善って、派手なリフォームだけじゃない。
照明を暖色に変える、家具の配置を少し動かす、観葉植物を置いてみる。
そんな小さな工夫が、暮らしに穏やかな風を吹かせてくれます。

「小さな改善」を積み重ねていくと、それが“自分たちらしい家”を育てる力になるんですよね。
完璧を求めるよりも、“今よりちょっと心地よくなる一歩”を大切にする――その感覚が、安心な暮らしの土台だと思います。


3. 夫婦で未来を語る時間をもつ

安心な暮らしを作るうえで、いちばん大事なのは“話すこと”かもしれません。

私たち夫婦も、若いころは家のことを話し合う余裕なんてありませんでした。
でも50代を過ぎた今、「これからどんな暮らしをしていきたいか」を語り合う時間が、何より大切に感じるようになりました。

“どこに住みたいか”“どんな時間を過ごしたいか”――。
そんな会話の中に、安心のヒントが隠れています。
たとえ意見が違っても、「お互いの思いを聞き合うこと」そのものが、心を近づけてくれるんですよね。


安心な老後というのは、遠い未来にある“完成形”ではなく、今日の一歩、明日の小さな選択から生まれていくものだと思います。

家を見つめ、暮らしを整え、そして夫婦で語り合う。
その繰り返しの中に、きっと“安心して生きる力”が育っていくのかもしれませんね。

日下部真美

「“老後の安心”って、今日の積み重ねなのね。」

日下部信親

「うん。“明日やろう”が一番危ない。」

日下部真美

「じゃあ、今日も一歩……まずはお茶でも飲む?」

日下部信親

「よし、“安心生活”スタート第一歩!」

日下部真美

「ただのティータイムじゃないの(笑)」


最後に

読んでくださって、本当にありがとうございます。

ここまで一緒に「老後の安心暮らし」について考えてくださったあなたに、心からの感謝を伝えたいです。

この記事の中でお話ししてきたように――老後の安心は、突然やってくるものではなく、“今の暮らしを少しずつ整えること”から生まれていくんですよね。

家の現状を点検し、暮らしのリスクを知ること。
無理のない範囲で小さな改善を重ねること。
そして、夫婦で「これからの生き方」を語り合うこと。

この3つの積み重ねこそが、「老後もこの家で穏やかに暮らしていける」という確信につながる。
私はそう実感しています。

私自身、50代になってようやく気づいたんです。
“家を整える”というのは、ただのリフォームや修繕ではなく、「これからの自分たちを大切にする行為」なんだということを。

安心というのは、誰かがくれるものではありません。
自分の手で、少しずつ形にしていくもの。
たとえそれが一歩ずつでも、確実に未来を変えていく力になると思います。

あなたの家にも、きっと“整える余地”がまだたくさんあるはずです。
それは欠点ではなく、希望の余白なんですよね。

どうか焦らず、自分たちのペースで。
今日からできる一歩を、ぜひ踏み出してみてください。

私も、同じ50代として、同じ道を歩む者として――これからも「安心して生きられる暮らし方」を一緒に探していけたらと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

あなたのこれからの毎日が、
静かで温かい安心に包まれた日々になりますように。

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