こんにちは、日下部です。50代のわたしは、同世代の方々とと同じように「親の介護」と「仕事」の両立という問題に直面しています。
幸いにも私には介護の現場で働く娘が二人おり、長女はケアマネージャーの資格を持ち。
次女も現役の介護福祉士として日々奮闘しています。そんな彼女たちから学んだことや、私自身が感じた体験を交えながら、介護と仕事の両立に悩む方に役立つ情報をお届けしたいと思います。
突然始まる親の介護は、心の準備ができていないまま日常にのしかかってきます。仕事を終えてからの食事や入浴のサポート、休日の通院付き添い、夜中の見守りなど、気づけば一日のほとんどを介護に費やしている…そんな状況に追い込まれる方は少なくありません。
さらに「頼れる人がいない」となると、肉体的にも精神的にも限界を迎えやすく、ストレスが蓄積していきます。では、どうすればこの大きな負担を軽減できるのでしょうか?
この記事では、まず「なぜ介護と仕事の両立はこんなにも苦しいのか?」を客観的に整理し、その上で「ストレスを減らす7つの工夫」を実例とともに解説します。さらに、「頼れる人がいない状況をどう乗り越えるか」や、「仕事と介護を続けながら自分の人生も大切にする方法」にも触れ、読者の方が今日から実践できる小さなヒントをまとめました。
介護と仕事を両立するのは簡単なことではありませんが、制度やサービス、そして考え方を少し変えるだけで、負担を軽くすることは可能です。この記事を通して「一人で抱え込まなくてもいい」と感じていただければ幸いです。
序章:突然始まる親の介護…仕事も両立できず限界を感じるあなたへ

「頼れる人がいない」状況に直面する50代の現実
50代は、親の介護と仕事の責任が同時にのしかかる時期です。厚生労働省の統計によれば、介護を担う中心世代は40代後半から50代であり、最も多忙で責任の重い年代と重なります。兄弟姉妹が遠方にいる、一人っ子である、配偶者もフルタイム勤務で支援が難しいなどの理由から、「頼れる人がいない」孤立状態に陥る人が少なくありません。
一人で抱え込むことでストレスが倍増する理由
介護の負担は時間や体力だけにとどまりません。心理的な責任感や「自分がやらなければならない」という思い込みが加わることで、ストレスは倍増します。これにより睡眠不足やうつ症状、仕事のパフォーマンス低下など、二次的な悪影響が表れやすくなります。さらに、長期化すれば「介護離職」に発展するリスクも高まります。
本記事の目的:ストレス軽減の実践的ヒント7選
この記事では、介護と仕事の両立に苦しむ方に向けて、ストレスを軽減するための7つの実践的ヒントを紹介します。制度の活用法、日常生活のセルフケア、孤立を防ぐための工夫、そして心の持ち方まで、多角的に解説。読者が「今日からできること」を見つけ、介護と仕事を両立しながら自分の人生も大切にできるようになることを目指します。
第1章 なぜ介護と仕事の両立はこんなにも苦しいのか?

【介護と仕事の両立が難しい理由】時間・心・お金の3大ストレス
忙しすぎる毎日が招く「時間的制約」
フルタイムで働きながら介護を担うと、1日はあっという間に過ぎてしまいます。
出勤前に親の食事や服薬の準備をし、仕事を終えれば病院への付き添いや買い物、夜は排泄や就寝のケア。自分の時間を確保する余裕はほとんどなく、慢性的な睡眠不足に悩む人も多いのが現実です。仕事に集中したいのに介護が気になり、介護に専念したいのに仕事が待っている――その板挟みこそが、強いストレスを生み出します。
親の感情や認知症対応による「精神的負担」
介護は体力だけでなく、精神面にも大きな負担を与えます。特に認知症介護では、怒りっぽくなったり同じ質問を繰り返したりする親に、冷静に対応し続けるのは簡単ではありません。時には「なぜ自分だけがこんな思いをしなければならないのか」と感情的になり、自分を責めてしまう人も少なくありません。愛する親だからこそ、感情が複雑に絡み合い、心をすり減らしてしまうのです。
介護費用と生活費の両立による「経済的プレッシャー」
介護にかかる費用は想像以上に高額です。デイサービスやヘルパー利用など在宅介護でも月数万円、施設入所となれば十数万円以上かかることも珍しくありません。そこに住宅ローンや教育費、日々の生活費が重なれば、経済的な負担は限界に達します。「働き続けたいけど、介護の時間が削れない」「収入を減らすわけにはいかない」というジレンマに苦しむ人が多いのも当然です。
【頼れる人がいないと追い込まれる】孤立がストレスを増幅させる
ひとりっ子や遠方のきょうだいで「家族に頼れない」ケース
介護の担い手が自分一人に集中すると、心身への負担は一気に増します。ひとりっ子や、きょうだいが遠方に住んでいて協力が得られない場合、頼れる相手は誰もいません。「全部自分でやらなければ」という思いが強まり、休む暇もなく介護と仕事に追われる毎日。そんな状況ではストレスが溜まるのも自然なことです。
職場に相談できず「制度を利用できない」現実
「迷惑をかけたくない」「評価が下がるのでは」と考え、職場に介護の事情を打ち明けられない人は少なくありません。その結果、本来利用できる介護休暇や時短勤務といった制度を活用できず、一人で全てを抱え込んでしまいます。理解者がいない環境では孤立感が強まり、「仕事も介護も中途半端」という自己否定に陥ることもあります。
孤独がもたらす燃え尽き症候群やうつリスク
介護と仕事の両立は長期戦です。周囲からの支援がないまま頑張り続けると、気力や体力が限界を迎え、燃え尽き症候群やうつを発症するリスクが高まります。「誰にも頼れない」「自分が倒れたら終わり」という思いが、さらにプレッシャーを強める悪循環に。孤独感は目に見えない大きなストレス要因であり、最も注意すべき落とし穴なのです。
第2章 ストレスを減らす!実際に役立った7つの工夫

【工夫①】知らなきゃ損!公的制度と介護サービスをフル活用
デイサービス・ショートステイで時間を確保
介護と仕事の両立で最も不足するのは「自分の時間」です。デイサービスやショートステイを利用すれば、親を安全に任せられるだけでなく、介護者が休息や仕事に集中できる時間を確保できます。「一人で抱え込まず、サービスに頼るのは悪いことではない」と気づくだけでも心が軽くなるはずです。
ケアマネジャーを味方につけるコツ
介護制度は複雑で分かりにくいもの。そんな時に頼れる存在がケアマネジャーです。状況を正直に伝えることで、使える制度や支援サービスを提案してくれます。「相談してみたら思っていた以上に道が開けた」という声も多く、孤立感を和らげる大きな力になります。
【工夫②】会社に相談しづらい人でも使える介護休業・時短勤務
法的に守られた「介護休暇・休業制度」
「職場に迷惑をかけたくない」と思うのは自然ですが、介護休暇や介護休業は法律で保障された労働者の権利です。活用することで、急な介護や長期的なケアにも対応でき、仕事を辞めずに済むケースが増えています。
取得体験談に学ぶ活用のヒント
実際に制度を利用した人の声からは「思い切って相談したら上司が理解してくれた」「休業中に介護体制を整えられた」など前向きな事例が多く聞かれます。制度を知ることはもちろん、周囲への伝え方の工夫も大切です。
【工夫③】見守りカメラ&アプリで“頼れない不安”を解消
テクノロジーが介護ストレスを減らす理由
仕事中に「親は大丈夫だろうか」と不安になることは多いものです。そんな時、見守りカメラやセンサーを導入すれば、スマホで状況を確認でき安心感が得られます。「離れていても見守れる」ことは、心の余裕につながります。
費用とメリットのリアルな比較
導入費用は数千円〜数万円と幅がありますが、安心を買えると考えれば決して高くありません。実際に利用者からは「気持ちに余裕ができ、介護に前向きになれた」との声も多く寄せられています。
【工夫④】在宅勤務やフレックスを武器にする働き方改革
両立に成功した実例
「朝は介護、昼は仕事、夜は再び介護」といった形で、在宅勤務やフレックスを導入することで両立に成功した事例があります。働き方を工夫することで、介護によるキャリア断念を防げるのです。
上司に相談するときの切り出し方
「業務の効率を落とさない工夫を考えている」と前向きに伝えると、理解が得られやすくなります。具体的な提案とセットで話すことが信頼につながります。
【工夫⑤】たった5分で心が軽くなるセルフケア習慣
睡眠・運動・食事で心身を整える
介護者が倒れてしまえば、介護は続けられません。だからこそ自分の健康管理は最優先です。バランスの良い食事、短時間でも体を動かすこと、そして質の良い睡眠が心身の安定につながります。
「介護の合間リフレッシュ法」ベスト3
- 深呼吸や瞑想で気持ちをリセット
- 好きな音楽や読書でリラックス
- 軽いストレッチで体をほぐす
「たった5分でも自分を大切にする時間を作る」ことが、ストレス軽減の第一歩です。
【工夫⑥】家族以外の支援先を見つけて孤独から脱出
介護者カフェや地域包括支援センターの活用
地域には介護者同士が集まって話せる場があり、悩みを共有するだけでも気持ちが楽になります。専門職に相談できる地域包括支援センターも、強い味方です。
オンラインコミュニティの可能性
時間や距離に縛られず、同じ立場の人とつながれるオンラインコミュニティも心強い存在です。「一人じゃない」と感じられるだけで、介護に向き合う力が湧いてきます。
【工夫⑦】完璧を目指さない!“70点でいい”という心の持ち方
「自分がやらなきゃ」を手放す勇気
介護者は「自分が全部やらなければ」と思い込みがちです。しかし完璧を求めるほど心は疲弊します。人やサービスに頼る勇気を持つことが大切です。
仕事も介護も“ほどほど”でいい理由
「70点でいい」と考えるだけで、肩の力が抜けます。完璧を目指さず、持続可能な形で介護と仕事を両立させることこそ、長期戦における最大の秘訣です。
第3章 頼れる人がいない状況をどう乗り越えるか?

「一人で抱え込まない」ための思考転換
外部サービスを“家族代わり”にする発想
「自分しかいない」と思い込むと、介護の負担は限界まで膨らみます。しかし、介護保険サービスや訪問介護、デイサービス、ショートステイなどの外部サービスは“第二の家族”と考えていいのです。実際に、厚生労働省の調査では、在宅介護を続ける家庭の7割以上が何らかの外部サービスを利用しています。
「他人に任せるのは気が引ける」と感じる人もいますが、サービスを利用することは決して“逃げ”ではなく、介護を継続するための賢い選択です。頼れる人がいない状況だからこそ、制度や専門職を味方につけることで、心に余裕が生まれます。
頼れない状況を逆手に取る生き方
誰かに頼りづらい状況は、見方を変えれば「自分で選択できる自由」とも言えます。兄弟姉妹の意見や家族の意向に振り回されることなく、自分と親に合ったケアを選べるのは大きな強みです。
「一人でやるしかない」という思考から、「だからこそ柔軟にやれる」という発想に変えるだけで、心の重荷は軽くなります。完璧を求めず、自分のペースで介護を組み立てていくことが、長期戦を乗り越えるカギになります。
頼れる存在を増やす!今日から始められる小さな一歩
行政・職場・地域を巻き込む工夫
「家族に頼れない=完全に一人」というわけではありません。地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護相談窓口など、行政や地域には頼れる機関が数多く存在します。職場においても、人事や上司に伝えるだけで配慮が受けられることがあります。
「まずは相談してみる」という小さな行動が、想像以上の支援につながることも多いのです。
実際に救われた人のリアル体験談
ある50代の女性は、ひとりっ子で親の介護を一手に担っていました。限界を感じて地域包括支援センターに相談したところ、デイサービス利用が実現し、週数日は自分の時間を持てるようになったといいます。
また、会社に事情を伝えた男性は、在宅勤務を認められ「仕事を辞めずに済んだ」と話します。これらの事例は、「頼れる人がいなくても、外部の力で状況は変えられる」ことを証明しています。
第4章 仕事も介護も続けながら「自分の人生」も大切にする方法

介護はマラソン、無理なく続ける心得
短距離走ではなく「長期戦」として向き合う
介護は数週間で終わるものではなく、年単位で続く「マラソン」です。厚生労働省の調査では、在宅介護の平均期間は約5年、長い場合は10年以上に及ぶといわれています。最初から全力疾走してしまうと、心身ともに燃え尽きてしまう危険性があります。「休みながらでも走り続ける」意識こそが、無理なく介護を続けるための秘訣です。
自分を犠牲にしすぎないバランス感覚
「親のためだから」と頑張りすぎると、結局は自分が倒れてしまい、介護そのものが立ち行かなくなります。だからこそ、自分の体調や気持ちを整えることは“わがまま”ではなく“必要条件”。「自分のケア=親のケアにつながる」と考えると気持ちが楽になります。
仕事を辞めない方が良い理由
経済的な安定が心の余裕を生む
介護のために退職してしまうと、収入が途絶えるだけでなく、将来的な年金額や社会保障にも影響します。介護費用は長期にわたるため、安定した収入があることは精神的な安心感にも直結します。「経済的な不安が減ると、介護にも前向きになれる」という声は多く聞かれます。
社会とのつながりを持ち続ける重要性
仕事は単なる収入源ではなく、社会との接点でもあります。職場の仲間や仕事を通じたやり取りが、孤独感を和らげてくれることもあります。介護を理由に社会とのつながりを断ってしまうと、孤立感やストレスが増幅することも少なくありません。「働き続ける=心の健康を保つ手段」としても大切です。
「介護も大切、自分の人生も大切」という視点
どちらかを選ぶのではなく「両立の発想」
多くの人が「介護を優先するか、仕事や自分の生活を優先するか」で悩みます。しかし大切なのは二者択一ではなく、両立を前提としたバランスの取り方です。「どちらも大切」と考えることで、罪悪感から解放され、前向きに介護と仕事に取り組めるようになります。
自分の人生を諦めないことが介護を支える力になる
「親の介護だから自分の人生は我慢するしかない」と思っていませんか? 自分の趣味や人間関係を大切にすることは、介護を続けるためのエネルギーになります。小さな楽しみを取り入れることで気持ちに余裕が生まれ、その余裕が親への優しさにつながります。
結論・まとめ:ストレスを抱え込む前に「小さな工夫」を始めよう

- 介護と仕事の両立は確かに大きな負担ですが、紹介した 7つの工夫 を取り入れることで、ストレスは確実に軽減できます。
- 頼れる人がいない状況でも、制度・サービス・考え方を変えることで道は必ず開けます。
- 大切なのは「完璧を目指さず、今日からできることを一歩ずつ」実践すること。小さな変化が積み重なり、介護も仕事も無理なく続けられる未来につながります。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。介護と仕事の両立は「時間・心・お金」の負担が重なり、特に「頼れる人がいない」ときには孤独とストレスが限界に達しやすいものです。しかし、制度やサービスを上手に活用し、在宅勤務やセルフケア、そして“完璧を目指さない心の持ち方”を取り入れることで、その重荷を大きく軽減できます。この記事で紹介した7つの工夫や「自分の人生も大切にする視点」が、あなたの生活を少しでも楽にし、前向きに歩む一歩につながれば幸いです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。